研究紹介

腎臓グループ

Research

頻回再発・ステロイド依存性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ投与の有用性

リツキシマブの定期投与でネフローゼの再発は抑制でき、QOLの一部を改善した

頻回再発あるいはステロイド依存性ネフローゼ症候群の一部に対してリツキシマブを標準的治療法(4週連続)ではなく単回投与を行い、その有用性ならびに骨密度やQOLに与える影響について検討しました。主要評価項目:1年あたりの再発回数、副次評価項目:ステロイド投与量、骨密度、QOLスコア。2017年1月以降のリツキシマブ導入13症例を前向きに観察しました。観察期間の中央値は50カ月で、投与回数は3.5回でした。13例中8例は再発を認めず、年あたりの再発回数は有意に減少しました。また、ステロイド投与量も減少し、12例で離脱できました。腰椎、大腿骨頸部の骨密度には差はなく、一部のQOLスコアは改善をみとました。このように、リツキシマブはステロイド依存性のネフローゼ症候群の基本治療薬として有用であることが示され、報告予定です。

リツキシマブ導入前後の年あたりの再発回数

リツキシマブ導入前後のPSL投与量

新規カリウム吸着剤のジルコニウムシクロケイ酸ナトリウムは患者満足度が高い

ロケルマのメリットは
患者満足度であることがわかりました

鷹揚郷腎研究所 弘前病院との共同研究になります。同院で血液透析を受けている方で、カリウム吸着薬を服用している42例の方を対象として解析しました。新規カリウム吸着剤のジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム(ロケルマ)に切り替えた後の前後での患者満足度、薬剤特性の評価、便の性状、電解質、週当たりの服薬総数などを比較検討しました。ロケルマ継続希望の方が92.5%にもおよび、その主な理由は服薬頻度の少なさ(86%)でした。変更後1か月の時点では便の性状や電解質に差は認めませんでした。

患者背景(内訳 n=42)

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年齢 62.2±11.1歳
性別 男性 28名、女性 14名
透析歴(年) 11.3±9.6
服薬していたカリウム吸着薬
  • ポリスチレンスルホン酸Ca
    (CPS)経口液20% アップル味
  • ポリスチレンスルホン酸Ca
    (CPS)ゼリー
  • ポリスチレンスルホン酸Na
    (SPS)ドライシロップ
12名
17名
13名
患者満足度

SZC変更4週後に「どちらの薬剤を続けたいか」と聞いた結果…

95.2%がSZCの継続を希望した

主な理由は服用頻度の少なさ(86%)であった。

血液透析症例におけるロキサデュスタットの有効性と安全性の検討

新規腎性貧血治療薬として、経口薬の低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬が使用できるようになりました。高い効果が報告されている一方、添付文書には血栓症に対する警告や悪性腫瘍、増殖性網膜症について注意喚起がされています。高齢者や、様々な合併症をもつ実際の臨床現場の透析患者における有効性や安全性については不明な点も多いため、村上新町病院との共同研究により、腎性貧血に対し新規に、もしくは赤血球造血刺激因子製剤からの切り替えにより、ロキサデュスタット錠を投与される維持血液透析患者における治療効果ならびに、安全性を明らかにするために、前向き観察研究を行っています。

培養ヒト腎臓近位尿細管上皮細胞における自然免疫応答についての研究

自然免疫システムはToll様受容体、RIG-I様受容体、、細胞質DNA受容体など、さまざまなパターン認識受容体の発現があり、ウイルスや他の微生物による感染を認識し、それに続く自然免疫応答は宿主防御として機能しています。腎臓でのウイルス感染は腎移植後の合併症の一つであり、移植腎機能障害の原因となります。成人ではサイトメガロウイルス(CMV)、BKウイルスは不顕性感染している場合が多く、移植後の免疫抑制に伴う再活性化により尿細管間質性腎炎の原因となります。腎移植後のCMV、BKV感染の腎組織ではRIG-I様受容体のうちRIG-I、MDA-5の有意な発現増加がみられます。培養した尿細管上皮細胞ではウイルス感染を模倣した刺激によってRIG-IやMDA-5の発現しますが、低酸素環境下では有意に低下します。その反応はHypoxia-inducible factor (HIF) を介して媒介されます。

培養した腎近位尿細管上皮細胞での自然免疫応答

日本腎生検 レジストリー /
日本 腎臓病総合レジストリー研究

弘前大学医学部附属病院腎臓内科では、年間130件程度の腎生検を施行しています。これらの豊富な症例数を、日本全体のエビデンス構築に貢献するために、日本腎臓学会のレジストリー研究に参加しています。

抗がん剤腎障害J-RBR研究(SUBARU-J)

日本腎生検レジストリー /
日本腎臓病総合レジストリー研究の二次研究

近年、様々な新規抗がん剤が使用されるなか、特徴的な腎障害が報告されています。これらのデータをがん治療にフィードバックするべく日本腎生検 レジストリーの二次研究として、抗がん剤腎障害J-RBR研究(SUBARU-J)が行われております。当科では、本研究に参加し、日本からのエビデンスの発信に貢献します。

日本における HCV 抗体陽性患者の腎生検結果の実態調査

日本腎生検レジストリー /
日本腎臓病総合レジストリー研究の二次研究

C型肝炎では、しばしばクリオグロブリン血症を伴い膜性増殖性糸球体腎炎が合併することが知られており、C型肝炎関連腎症と呼ばれます。これまで本邦においてまとまった疫学データはなく、本研究では、日本腎臓学会の腎生検レジストリー研究に登録されたデータの貸与を受けC型肝炎患者における腎障害の実態について解析を行います。

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