診療案内

循環器グループ

Treatment

診療体制

当科の新患日は毎週火曜日及び金曜日の午前です。当科を受診される際には、担当医からの紹介状(診療情報提供書)をご持参ください。前医での治療経過や投薬内容がありますとスムーズな検査および治療ができます。多くの救急ならびに専門的治療を要する患者様を受け入れるために、当科では病院連携または病診連携を推進しております。安定した患者様の定期的外来診療は可能な限り地域の医療機関や開業医の先生にお願いし、専門医療を必要とする患者様を大学病院の専門外来で診療しています。当科の特殊性や特定機能病院としての役割をどうぞご理解いただきます様お願い致します。

主な対象疾患と治療法

虚血

  • 虚血性心疾患(急性冠症候群、狭心症)

    緊急カテーテル治療が必要な急性冠症候群(急性心筋梗塞、不安定狭心症)を365日24時間体制で受け入れ、早期再灌流療法を積極的に行っています。3次救急を担う当院救急救命センターとも連携し、重症度の高い心肺停止症例や心原性ショック症例も多数受け入れております。近隣医療機関からの心電図診断の相談も24時間受け入れておりますので、お困りの際はご連絡下さい。

    安定狭心症については、主に外来で負担やリスクの少ない検査から行い(運動負荷心電図、核医学検査、冠動脈CTなど)、冠動脈インターベンションが必要な可能性が高い患者様に冠動脈造影検査を受けていただいています。最近では、冠動脈CTにFFR-CT解析を追加することで、解剖学的な狭窄度のみならず、心筋虚血の有無についても診断できるようになりました。当院には近隣の医療機関から複雑な冠動脈インターベンションが必要な症例が集まり、様々な最新のデバイスを用いた冠動脈インターベンションを行っています(血管内超音波、光干渉断層撮影、ローターブレーター、ダイアモンドバック、エキシマレーザー、方向性冠動脈粥腫切除術など)。なお、カテーテル治療に限らず、薬物治療や冠動脈バイパス術をおすすめすることもあります。冠攣縮性狭心症については、検査や薬物治療だけでなく、病態解明のための基礎研究にも取り組んでいます。

  • 構造的心疾患(Structural Heart Disease:SHD)

    以前は外科手術でしか治せなかった心臓弁膜症や先天性心疾患などの構造的心疾患ですが、近年は低侵襲のカテーテル治療が次々と可能になってきており、当院でも積極的に取り組んでいます。 中でも大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療(TAVI)については、東北地方で3施設目の「TAVR専門施設」として認定されました。 心臓血管外科、麻酔科、リハビリテーション科とも連携し、多職種からなるハートチームで毎週カンファレンスを行い、治療方針を決定しています。 今後より一層安全で質の高い医療を患者様へ提供できるようハートチームで取り組んでいきます。

    現在、下記のカテーテル治療が可能です。

    • 大動脈弁狭窄症に対する経皮的大動脈弁留置術(TAVI)
    • 僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的僧帽弁接合不全修復術(MitraClip)
    • 僧帽弁狭窄症に対する経皮的僧帽弁交連切開術(PTMC)
    • 心房中隔欠損症に対する経皮的心房中隔欠損閉鎖術(ASO)
    • 閉塞性肥大型心筋症に対する経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)
    • 非弁膜症性心房細動による脳梗塞を予防する経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMAN)
    • 卵円孔開存による脳梗塞を予防する経皮的卵円孔開存閉鎖術

    (1)経皮的大動脈弁留置術(TAVI)

    (2)経皮的僧房弁接合不全修復システム

  • 心不全

    拡張型心筋症、肥大型心筋症、虚血性心筋症、二次性心筋症(心サルコイドーシス、アミロイドーシスなど)、心筋炎、弁膜症、成人先天性心疾患、肺高血圧症に伴う急性心不全や慢性心不全を扱っています。心不全の初期対応から、検査、診断、薬物療法、カテーテルやデバイスを用いた治療、慢性期の疾病管理まで、虚血・不整脈両グループで診療しています。薬物治療抵抗性の重症心不全や心原性ショックに対し、補助循環デバイスの左室留置型ポンプカテーテル(IMPELLA🄬)を使用する経験も増えています。心大血管リハビリテーションの施設基準も取得しており、リハビリテーション科と連携しながら、多職種からなる心不全チームで患者様一人ひとりに多面的にアプローチできるよう日々取り組んでおります。

  • その他

    末梢動脈疾患(特に下肢閉塞性動脈疾患)に対するカテーテル治療や、肺高血圧症に対する肺動脈バルーン拡張術(BPA)などのカテーテル治療も積極的に行っています。

不整脈

頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療にも積極的に取り組んでおり、年間約500件のカテーテル手術を行っています。東北内はもちろんのこと、国内においてもトップクラスの症例数です。とくに心房細動に対する肺静脈隔離術は年間300件以上にもなります。当科では現在、高周波カテーテル、冷凍バルーンカテーテル、ホットバルーンカテーテル、レーザーバルーンカテーテルでの治療が可能であり、わが国で承認されているすべてのカテーテルが使用できる、国内でも数少ない施設のひとつです。そのため、全国の施設から当院へアブレーション治療の見学に訪れる医師やメディカルスタッフは少なくありません。その数は過去4年間で延べ220施設を超えます。心房細動以外でも房室結節リエントリー頻拍、房室回帰性頻拍、心房粗動、開心術後の心房頻拍など複雑な頻拍に対しても3種類の3Dマッピングシステム(不整脈解析システム:CARTO、Rhythmia、EnSite)を駆使し、アブレーション治療を行っております。

最近では、より難易度の高い心室性不整脈に対しても治療を行っており、年間約70件(全身麻酔下心外膜アプローチを含む)のカテーテル手術を行っています。そのため、最新の日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン「不整脈非薬物治療ガイドライン」の協力員のメンバーに当科の2名の医師が選ばれており、我が国の不整脈治療においても重要な役割を果たしています。

また、人が人を救うために開発された医療機器(デバイス)を活用したデバイス治療は、近年のリノベーションにより、より多様かつ多機能化しています。例えば、徐脈に対するペースメーカ治療においては、経静脈リードを有さないリードレスペースメーカが登場し、ペースメーカ感染やリード不全に対する解決策の一つとして広く活用され、心臓突然死の最も確実な予防法とされる除細動器治療にも劇的な変化がもたらされました。従来の経静脈除細動リードを有する植込み型除細動器(ICD)に加え、2014年からは着用型除細動器(WCD)が、そして2016年からは皮下植込み型除細動器(S-ICD)が使用可能となり、個々の患者さんの病態、病期、そしてライフスタイルに応じて、より柔軟な選択が可能となりました。当科では国内でもいち早く、これらのデバイスの導入を進めており、これまでの使用経験を国内外学会や論文発表を行い、その成果は本邦のガイドラインにも引用されています。

また、デバイスに搭載された通信機能を活用した遠隔モニタリングは、自覚症状を伴わない不整脈や心不全悪化の早期発見のみならず、デバイス機能を継続的に監視することで、デバイスが植込まれた患者さんが安心して質の高い日常生活を送ることを影ながらサポートしています。コロナ禍を経て、その重要性が再認識されています。当科ではデバイスを活用した遠隔診療の普及拡大、生体情報のモニタリングによる心不全早期診断法の開発について積極的に取り組んでいます。

高血圧・脳卒中

高血圧患者さんの診療は基本的には外来で行っています。二次性高血圧の観血的な手技による診断や治療は短期入院を原則としています。副腎静脈造影、サンプリング、腎動脈造影、腎動脈形成術等がその範疇に入ります。急性期脳卒中は基本的には弘前脳卒中・リハビリテーションセンターでの診療をお願いしていますが、慢性期の脳卒中患者さんは当科外来で通院加療が可能です。

診療実績(2021年度)

入院患者の内訳(虚血グループ)

急性冠症候群 170名
狭心症 165名
陳旧性心筋梗塞 60名
弁膜症 120名
心筋症/心不全 50名
末梢動脈疾患 14名
肺高血圧症 17名
その他 22名

検査・治療実績(虚血グループ)

心臓カテーテル検査 319例
経皮的冠動脈インターベンション(PCI) 267例
経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI) 64例
経皮的僧帽弁接合不全修復術(MitraClip®) 9例
末梢血管に対する血管内治療(EVT) 14例
卵円孔開存(PFO)に対するカテーテル閉鎖術 1例
その他 (BAV, BPA, PTMC, 心嚢穿刺) 22例

構造的心疾患に対するカテーテル治療

経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI) 64例
経皮的僧帽弁接合不全修復術(MitraClip®) 9例
バルーン肺動脈形成術(BPA) 8例
カテーテルPFO閉鎖術 1例
経皮的僧帽弁交連裂開術(PTMC) 1例

診療実績(不整脈グループ)

カテーテルアブレーション
心房細動 56%
PSVT 13%
PVC/NSVT 10%
VT/VF 8%
AT 7%
心房粗動 3%
その他 3%
400例
EPS 14例
心臓不整脈デバイス 211例
ペースメーカー
新規 46%
交換 41%
リードレス 13%
84例
経静脈植込み型除細動器(T-ICD)
新規 80%
交換 20%
35例
皮下植込み型除細動器(S-ICD)
新規 80%
交換 20%
23例
両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D) 34例
両心室ペースメーカー(CRT-P) 34例
植込み型心臓モニタ(ICM) 3例
リード抜去 21例

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