Research
Cryoballoon ablation for paroxysmal atrial fibrillation in Japan:
2-year safety and efficacy results from the Cryo AF Global Registry
本邦における
クライオアブレーション長期成績
― the Cryo AF Global Registry ―
心房細動患者に対する抗不整脈薬治療が無効または不耐容の場合、カテーテルアブレーションは推奨されるリズムコントロール療法である。本研究ではクライオバルーン(Arctic Front Advance)を用いた肺静脈隔離術の日本国内における臨床成績と安全性を評価する。
Cryo AF Global Registryは、前向きな多施設共同(国内10施設)レジストリである。有効性は30秒以上の心房性不整脈の再発の有無、心房細動に関連する症状、EQ-5D-3L質問票によるQOLで評価した。安全性評価項目はデバイスおよび手技に関連する重篤な有害事象とした。
本研究では、352名の発作性心房細動患者(65±10歳、女性36%)が対象となった。心房細動の初発からの平均期間は3.0±5.5年であった。機器および手技に関連する重篤な有害事象発生率は2.6%(95%信頼区間:1.2-4.8%)であった。心房性不整脈の非再発は、12ヶ月で88.5%(95%信頼区間:84.7-91.4%)、24ヶ月で86.7%(95%信頼区間:81.1-90.8%)だった。
1つ以上のAF症状を有する患者数は、登録時の88%から12ヶ月後のフォローアップ時には22%(p < 0.01)へと有意に減少した。EQ-5Dを用いたスコアでは有意な改善はみられなかった。しかしビジュアルアナログスケールでは改善がみられた(5.8±18.4;p < 0.01)。
本研究は肺静脈隔離術に使用されるクライオアブレーションが、日本における発作性心房細動患者の実使用において安全で有効な治療法であることを示すものである。
Predictors of prognosis and recurrence of atrial fibrillation
after pulmonary vein isolation in patients with heart failure
心不全合併心房細動患者における
肺静脈隔離術後の予後予測因子の検討
- Primary endpoint: the composite of morbidity(all-cause death, HF hospitalization, stroke, major bleeding)
- Secondary endpoint: AF recurrence
- Recurrence was defined as any episode of atrial tachyarrhythmias (documented by electrocardiograms or Holter recordings) lasting at least 30 seconds after the three months blanking period.
心不全合併心房細動患者に対するカテーテルアブレーションは予後を改善する。本研究の目的は心不全合併心房細動患者に対するカテーテルアブレーションにおける初回肺静脈隔離術後の予後予測因子と心房性不整脈の再発予測因子を明らかにすることである。
2012年1月から2020年12月までに当院で初回肺徐脈隔離術を受けた1750人のうち、心不全(BNP≧100pg/ml)合併患者297人(66±9歳、男性67%、発作性心房細動43%)を対象とした。主要評価項目は、全死亡・心不全入院・脳卒中・大出血の複合エンドポイントとした。副次評価項目は心房性不整脈の再発とした。
平均観察期間322±140日で主要エンドポイントは7人(2%)に発生した。内訳としては1名が死亡、3名が心不全入院、2名が脳梗塞、1名が喀血であった。心房性不整脈の再発は54人(18%)に認められた。多変量解析において、心房細動の再発は複合エンドポイントの有意な予測因子であった(ハザード比 = 2.41, 95%信頼区間 = 1.76-3.31)。また心筋梗塞の既往は多変量解析において、心房性不整脈の再発の有意な予測因子であった(ハザード比= 2.98, 95% 信頼区間 = 1.39-6.42)。
Kaplan-Meier Curve of freedom
from AF recurrence
初回肺静脈隔離術後の心不全合併心房細動患者において、心房性不整脈の再発は有意な予測因子であった。また心筋梗塞の既往は、心房性不整脈の再発の有意な予測因子であった。